会長挨拶

第45回日本美容外科学会総会・第145回学術集会
会長 山本 有平 (北海道大学 形成外科 教授)

日本美容外科学会は、国内の美容医療を牽引していくリーダーシップを掲げ、美容外科を中心とし、美容レーザー、フィラー(注入医療)、medication、再生医療など、美容医療全般における知識、技術の向上をはかり、日本形成外科学会をはじめとした国内外の関連学会および団体との連携を行なってきました。また、学会の綱領に医の倫理を掲げ、医師の道徳教育とともに学問的体系の確立、発展のために努力しております。

この度、2022年9月22日(木)、23日(金・祝)に、第45回日本美容外科学会総会・第145回学術集会を、京王プラザホテル札幌において開催いたします。これまで、本学会総会は、1991年に大浦武彦名誉会員が第14回、2007年に新冨芳尚最高顧問が第30回、2017年に野平久仁彦会長が第40回を主催されており、北海道大学医学部形成外科同門にとりまして大いなる誉でございます。この機会を与えて下さいました本学会の役員、評議員ならびに会員の皆様に対し、心から厚く御礼申し上げます。

私は、この10年余の間、幾つかの全国学会を主催させて頂きましたが、本学術集会会長が、北海道大学形成外科教授としての最後の全国学会開催の勤になります。これまでの学会主催経験と昨今のコロナ禍の暗い時代を経て、今の心境として、北海道日本ハムファイターズ 新庄BIG BOSSの様に、“ポップで明るく楽しい学会〜それでいて、地道に、一生懸命に!”を目指して、会員をはじめ学会に関連される全ての方々と共に、本総会・学術集会を心より満喫いたしたく存じます。

学術集会プログラムでは、特別企画:美容形成〜事始めから匠への道を始め、パネルディスカッション:美容外科医のサクセスストーリー〜目指すべき高み〜、教育セミナー、主題演題、各種委員会企画プログラム、共催セミナー、一般演題等において、多くの演者の方々にご参加頂き、深く感謝いたします。限られた時間内でのご発表や設置会場の関係でE-Poster形式になることが心苦しい次第ですが、何卒ご容赦の程宜しくお願いいたします。

美容医療は、医療機器、医療材料、手術器具、医薬品、検査機器などの進歩に大きく支えられていることは我々の誰もが日々の診療で実感するところでございます。美容医療に携わる多くの医師、看護師、スタッフ、関連機関の方々が参加される学術集会会場において、優れた機器・製品・薬品を展示して頂くことは、多くの会員にとりまして新しい情報収集の場となり、斬界の発展に対しても大きく寄与するものと信じております。本学術集会における企業展示では、“美容形成 EXPO SAPPORO 2022”と銘打って、美容医療に関連する盛大なる見本市を目指したく存じます。

ここで、昨年形成外科を選択科実習とした医学生より提出された、非常に印象深いレポートを一部抜粋いたします。“成績が下がる事を開き直った上で言うと、形成外科の認知度はあまり高くない。その理由の一つに、美容外科分野において、「美容整形」などという言葉の誤用が多い点が挙げられる。美容診療を行うことを「整形する」と言うくらい、整形外科と混同する一因になっている。今後訂正していくのは非常に困難であると思えるが、正しい認識を広める努力も必要になると考える。”

このように、我が国では、美容外科分野において、マスコミを中心として、“美容整形”という言葉が頻用され、広く市民権を得ています。一般の方々は、美容診療を受けること、イコール“整形する”と言われている現状があります。さらに、美容診療における手術領域である“美容外科”に関しては、ご存知のように2つの同名学会:日本美容外科学会“JSAPS”と”JSAS”が存在し、長い間の歪みが続いています。私は、形成外科医を志して、蘇春堂の新冨芳尚先生と野平久仁彦先生の下で美容外科を勉強する機会を得て、その後、北海道大学病院で整容・美容外科を開設しました。その過程で、絶えず思ってきた事があります。それは、世の中の多くの人達が、色々なsurgical & non-surgical施術を受けて美しくなっていく、若返っていく治療、それを包括した呼称は、“美容整形”ではなく、“美容形成”が最もふさわしいのではないか?今後、将来において“美容形成”という言葉が、広く社会に浸透していく時代になる事を願い、この度、私は、第45回日本美容外科学会総会のシンボルロゴとして、非常にシンプルな4文字“美容形成”を掲げました。さらに、これからの新たな専門医制度に向けて、美容外科が形成外科の真の2階立てに位置していく強い思いも込めております。

清涼なる9月の連休期間、学会と共に、素晴らしい北の大地をお楽しみ頂けますよう最善を尽くしたく存じます。秋が深まる札幌で、北大形成外科教室・同門会員と共に、皆様を心よりお待ち申し上げます。

ページトップ